くろさんちのブログ

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中森明夫の『アイドルになりたい』が面白かった。

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中森明夫の「アイドルになりたい」を読んだ。

僕が中森明夫を知ったのは、中学生時代に古本屋で買ったアイドル雑誌とエロ本の中間的な存在だった「投稿写真」の中での連載だった。B4~A5くらいのサイズで、親に見つからないよう隠しやすいという理由でよく買ってたし、よく男子校の学友たちに流通させてた。

毎号なぜこの冴えないおじさんは、旬のアイドルと対談しているんだと思ってたけど、歳を取ってサブカル的な情報に首を突っ込んでいく過程で、ああこの人はこの世界の大御所なんだなと認識していった。

Webちくまに「アイドルになりたい」の冒頭が無料公開されているので読んでみてほしい。第1章の中に、アイドルとはどういう仕事か、という話が載ってる。その中で松田聖子に関連して、サンミュージックの相澤社長の言葉が紹介されていて、

 相澤さんがぼくに教えてくれた。
「松田聖子はO脚なんですよ。それが理由である大手芸能プロの最終審査で落とされたという。だけど、わたしはダメだと思わなかった。いや、むしろミニスカートでデビューさせた。彼女が欠点をかくしてロングスカートでデビューしていたら、きっと売れなかったでしょうね。断言しますよ。そしたら、今の松田聖子はいなかったはずです」
 なるほど!
 すごい話だ。
 そうか、アイドルって、欠点が魅力なんだな。短所が長所になっている。アバタもエクボ、と言うけど、いや、アバタがエクボ……いやいや、アバタ【こそ】エクボ! なんだ。
 つまり、それが【個性】でしょう。
 個性とは「魅力的な欠点」のことなんだ。
 美人で、スタイルがよくて、歌もうまくて――といった欠点のない芸能人が、あまり人気が出ないのもよくわかるね。

 欠点こそ「人に愛される」ために必要なものだと読者に呼びかける。完璧な美しさや歌声を持った人間が愛されるのではなく、欠落をもってしまった存在だからこそ愛されるという話は、後半さらにぐっと深くなっていく。

南沙織に始まったアイドルの歴史を通して、アイドル志望の女の子でも苦労なく読める口調で、できるだけかんたんに、文章のカロリーを上げないように上げないように書かれた一冊。

最後は願いにも似たメッセージで幕を閉じて、まさに中森明夫の遺言のような本だったよ。1時間位で読める。面白かった。

アイドルになりたい! (ちくまプリマー新書)

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